行政書士に登録しました

段階を踏んで進化していきたいと思います。まずは行政書士に登録しました。

「シェアリングエコノミー 国税庁が初の重点調査」について

確定申告の時期です。今回は、新型コロナの対策として、税務署の混雑を緩和する措置の意味合いで、期限が4月15日まで、約1か月延長されています。また、マイナンバーカードとスマートフォンを使って自宅に居ながら必要書類を送信する方法をお勧めしています。ともかく、大事な時期で、これに関連する新聞記事も増えています。

昨日「シェアリングエコノミー 国税庁が初の重点調査」という記事が出ました。税金の問題は税理士の範疇なので、あまり深入りはしませんが、今回のように、所得申告漏れが目に余る業界に関して、「国税庁が初の重点調査」ということがよくあるのでしょうか。

今回、狙われ「シェアリングエコノミー」とは、空き部屋を民泊として活用したり、フリーマーケットサイトで古着を売買したりする商売です。行政書士の業務として、空き家問題に関わっている方、あるいは、古物商の申請を専門に行っている方がいらっしゃるようです。ただし、ご自身がそういった「シェアリング」の商売を運営しているケースは多くはないのかもしれません。参考までに、どういう点に特徴があるのか見ていきます。

こういった新規に買い物をするのではなく大勢で物件を共有する「シェアリングエコノミー」は、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり傾向を背景にネット上で急速に広がっているということなので、ひとつの新しい生活様式なのかと思います。

記事には、大坂国税局のデータが掲載されています。フリマ等の通販サイト、仮想通貨、インターネット広告、民泊やカーシェア、動画・音楽の配信サービスがその対象業種で、1400件の対象案件で174億円の申告漏れがあったと書かれています。1件平均にすると、1,200万円になります。けっこう儲かっている人がいるのだと感じました。

また、国税当局では、特殊なシステムを活用してネット上での取引実態を把握しており、国税関係者は「取引がバレないで済むとは考えないでほしい」と話しているという記載も気になります。たんなる脅しなのか、そうではなく、サイバー警察のように、ネット上の取引を見張っている専門の捜査官がいるのかもしれません。

以下、ためになる情報をピックアップしておきます。

◆会社員であれば副業となり、年間所得が20万円を超えれば確定申告が必要

◆個人売買で年間売り上げが1千万円を超えた場合には、消費税の納税義務

◆個人間での日用品の売買は申告は不要だが、時価30万円を超える美術品や宝石類などの取引は課税の対象

◆日用品の取引でも、継続的な商業活動と判断されれば、個人事業主として扱われるため申告が必要

気をつけましょう。(コロナ影響で外国人の往来が激減した1年でしたが、経済活動が通常に戻れば、民泊ももっと増えるのでしょうか。かわいいイラスト、いらすとやさんからいただきました)

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約束手形がまだあったのか・・・

昨日「約束手形2026年までに廃止 下請けの資金繰りを改善]」という記事をみかけました。「約束手形って何?」、「約束手形まだあったのか」とお思いの方も多いのではないかと思います。

約束手形とは、手形の振出人(支払人)が、代金の受取人に対して、所定の期日に決められた金額の支払いを約束する証書のことです。支払期日を先延ばしにできます。そのため、手元の現金が少ない場合などでも、支払期日まで余裕を持ってお金の準備ができるという特徴があります。」

というものですが、立場の弱い中小企業への支払いを大企業が先延ばしする手段に使われてきた側面があり、中小企業庁公正取引委員会は、支払い期限を定めています。なぜか繊維業は90日以内、それ以外の業種は120日以内という規定があります。

ピークは平成2年1990年とのことで、その時点と比較すると97%減少しtということですが、それでも、2020年の全国の手形交換高は、134兆もあったということです。

ここへきて、デジタル化の流れを活用して、商習慣を全面的に変えていこうという趣旨です。しかし、いろいろな法制度の改正などが必要で、完全廃止までに5年もかかる見通しとなっています。まずは、今年の3月までに制度を改正して、支払い期限を現行の2分の1の60日に短縮する方針とのことです。

これによって、ただでさえ、新型コロナ影響で資金繰りが厳しい中小企業が少しでも救われることになることを期待したいと思います。

(手形ちがいのイラストですが、いらすとやさんからいただきました)

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不動産売買の重要事項説明をITツールで行うとは

「政府は2月9日の閣議で、行政デジタル化の司令塔と位置付ける「デジタル庁」設置法案を含むデジタル改革関連6法案を決定した」という報道のなかで、「宅地建物取引法では、宅地建物の売買契約などに関する重要事項説明書を電子化し、押印を廃止する」という一言が気になっております。

不動産購入にあたって、契約の成否を左右するような重要な情報であるため、「購入者等が実質的に情報の持つ意味を認識し、理解した上で判断したかどうかが重要」とされているポイントです。

「重要事項説明」とは、こういう内容です。

◆次の事項は、売買・交換・賃貸を問わず、必ず説明しなければなりません。

・登記された権利の種類・内容、登記名義人(例:抵当権など)
・飲用水・電気・ガスなどの供給状況や排水設備
(整備されていない場合は今後の見通し、特別な負担の有無)
・契約解除や損害賠償の予定や違約金の額
・代金、交換差金、借賃以外に授受される金銭の額、目的
・宅地建物が、造成宅地防災区域・土砂災害警戒区域津波災害警戒区域にあるときはその旨
・(未完成物件の場合は)工事完了時における形状および構造

その説明の際に、紙を使った説明ではなく、パソコンやタブレット端末などを使って行うことだけではなく、その場に説明者がいなくても、テレビ会議やZOOM等を利用して重要事項説明が行えるようになりました。これを「IT重説」と呼んでいます。

その場合でも、

①重要事項説明書等を電子化したファイルに電子署名を施し、説明の相手方に交付し、同ファイルを用いて重要事項説明を実施。
②現行制度の対応として、宅地建物取引士が記名押印した重要事項説明書も合わせて送付。
③重要事項説明は、IT重説により実施

という手順を踏んで実施することとされてきました。

今回の新聞報道は、それをさらに簡略化したものなのかどうか、詳細はわかりません。本来の趣旨が、契約行為に不慣れな購入者が実質的に情報の持つ意味を認識し、理解した上で判断したかどうかが重要という趣旨の「重要事項説明」なので、たしかに、三文判の「押印」自体はどうでもいいことなのかもしれませんが、具体的な改正内容が気になるところです。

(かわいいイラスト、いらすとやさんからいただきました)

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インドに注目します

米国についで、新型コロナに感染した人が多いのはインドです。感染者が1千万人を超えています。ところが、昨日、「インドでコロナ新規感染急減-生活ほぼ正常化」という趣旨の記事を目にしました。

昨秋の多いときは、1日あたり10万人もの新規感染者が報告されていたものが、ここ数日、90%も減少しているとのことです。ワクチン接種が影響しているのかと思いましたが、夏までに3億人への接種を目指すと報道されており、現時点では、それほど接種している人が増えていないはずです。すでに、社会的な集団免疫ができたという説まであります。

また、製薬産業が盛んなインドでは、新型コロナに関しても、国産のワクチンのほかに、英国のアストラゼネカ社がインドでの製造を行っているとのことです。人口が多いだけではなく、英国の植民地だった歴史がありますので、国民の多くの人が英語を話します。IT関係でも世界各国で活躍する優秀な人材を出しています。

そんなインドですが、今度は、日本政府との間で、「特定技能」に係る制度の適正な運用のための連携の基本的枠組みに関する協力覚書の署名が行われた、というニュースを読みました。すでに、昨年の9月に「特定技能」の資格で看護師さんが日本で仕事に従事していますが、法律で定められている、建設、造船、自動車整備、介護、農業など14業種においてインド人熟練労働者の日本での就労が可能になります。

ただ、飲食業ばかりではなく、「緊急事態」の長期化の影響で失業している人も多い状況下で、特定な産業は「人手不足」なのかどうか。外国人材に頼る方針にカジを切ったのはコロナ前の政策なので、インドに限らず、受け入れ人数枠の見直しなどがあってもいいのではないかと思います。

コロナ影響がなければ、もっと加速していたと思われる海外との人材交流のなかで、この先も「インド」は目が離せません。

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土地登記が大きく変わるきざしです

土地の登記の業務は、良く間違われますが、司法書士さんの業務範囲です。ただし、遺言、相続の関係で、どうしても行政書士として知っておく必要がある重要なテーマです。

相続が発生しても、遠い親戚に連絡がつかなかったり、あるいは親族間で争いごとがあったりした場合、土地が共有のまま、名義は故人のままで放置されてしまっているという事例が多数あるようです。そこに家が建っているケースでは「空き家」問題に発展します。すでに、日本全体では、6軒に1軒は空き家だというデータがあります。また、2016年時点で所有者不明土地は全国で410万ヘクタールに上り、九州本島の面積を上回っており、このままの状態が続けば、2040年までに北海道本島に匹敵する720万ヘクタールに広がるとの試算もるようです。

長く続いてきた土地の登記制度ですが、家族に関する考え方も戦後70年以上が経過し、変わってきていますので、実際の世情に合わせて見直すべきだという機運があります。

2月10日付の新聞に「土地登記は相続3年内に、違反なら過料 法制審答申」という記事がありました。まだ、改正案の段階ですが、なかなか画期的な内容なので、かいつまんで見ていきます。

改正案では相続によって取得を知ってから3年以内に登記を申請しなければ10万円以下の過料を科すという点が重要なポイントになっています。罰則は、新たに相続する人が対象になります。

ただ、これだけでは、登記が促進されるか効果が期待できません。「登記手続きの負担は減らす。相続人のうち1人の申し出で登記ができる。10年間、届け出がなければ行政が法律で定める割合で遺産を配分する『法定相続』にする」という点と抱き合わせです。

これは、なかなか良い案だと思いました。誤解をおそれずに書けば、相続や登記は、もっと、事務的に感情論抜きで行われるべきだというのが私の持論です。司法書士の方に頼らなければできないくらい簡単でない仕組みになっているから、お金もかかるし放置されるケースが多いのではないかと思います。

今回の改正では、相続人が複数存在しても、そのなかの1人の申し出で登記ができることを目指しています。さらには、それさえも行われず10年間放置された場合は、役所が遺産分割を法定造族の割合で決めてしまって登記してしまうという仕組みにもっていこうという案です。

さらに「土地やビルなどの建物の共有者が不明でも改修や売却をしやすくする。裁判所の確認を経て公告し、他の共有者の同意で利用目的を変更できる。短期間の賃貸借は共有者の過半数で決められる。」ということも盛り込まれています。

名目上の権利が残っていて活用されない土地や建物などが再活用される方向に進むのか、この法改正の動向もフォローしていきたいと思います。

(かわいいイラスト、いらすとやさんからいただきました)

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行政のDXについて(6)

毎日報道される新型コロナの新規患者が少し減少傾向にあるようです。ここで緊急事態を打ち切る、あるいは、20時以降の飲食業の規制を緩和するなどの判断は、市民の健康維持という観点とは少し離れた、きわめて政治的な判断になります。

中国では、数名の感染者が新たにみつかると、そのエリア一帯、何千人もの人のPCR検査を実施し、すぐに、立ち入り禁止区域を設けると聞いています。それと比べると我が国の措置はたいへん悠長に感じますが、個人の自由の制限に対する考え方の差異かと思います。

来年の冬には北京で冬季オリンピックが予定されています。ここまで徹底的に対策をすれば、たぶん、開催にこぎつけることができるような気がします。東京はごたごたしていますので、たいへんあやしくなってきましたが。

さて、「行政のDX」(デジタルトランスフォーメーション)ですが、本日は、中国の事例をみていきたいと思います。

少し前にEUの「デジタル・ガバメント施策」について触れました。簡単に書けば、多国間の競争と協調をベースに展開されているというものです。では、中国はどうかといえば、単独で1国で強力にデジタル化を推し進めているようです。

「第46回中国インターネット発展状況統計報告」というものが公表され、いくつかの日本語訳や解説がwebにアップされています。そのなかから、要点をピックアップしていきます。

・中国ではモバイルを通じたインターネット網が都市部を中心に広く浸透

・中国のインターネット利用者数は2020年6月時点で9億4,000万人、インターネット普及率は67.0%、そのうちスマートフォンなどのモバイル端末によるネット利用者は9億3,200万人と、インターネット利用者全体の実に99.2%を占めている

・したがって、人々は毎日スマートフォンを通じて何かしらのサービスを享受している

・特に、QRコードを活用したキャッシュレスは、大きな店舗から小さな露店まであらゆる決済場所に浸透しており、老若男女がQRコード決済を生活習慣として利用している

・このような背景から、中国では行政サービスのスマホアプリが「アリババ」等の民間企業のプラットフォーム上に数多く作られており、例えば駐車違反の罰金をアリペイで支払うなどといったことが可能になっている

ハード面では、このように進んでいることと、もうひとつ、デジタル化を推し進めるうえで重要な点は、個人の所得情報やキャリアなど社会的ステータスに関するデータを政府が一元管理し、その内容や履歴に基づいて全国民をランキング化し、オンライン・オフライン両面でのあらゆる行動に対して「ソーシャルクレジット」という偏差値でスコアリングをすることが当たり前になっているということです。

私が以前かかわったことがある中国のIT関係の会社では、毎週、従業員の成績を貼り出し、それに応じて給与に格差を設けていました。そうしなければ、他人より優れた成果を出した人からクレームが来ると管理者が説明していました。

そういう社会と日本は正反対です。今はもう見られなくなったと思いますが、小学校では差異を設けない授業の一環で、運動会の徒競走のときに、全員で手をつないでゴールし、順位をつけないということがありました。大きな違いがあります。

「デジタル化」という側面だけをとらえると、政府がデータを一元管理することが当たり前になっている中国方式のほうが断然、ものごとを進めやすくすることができるものと思いますが、さて、今年の秋にスタートする我が国の「デジタル庁」は、どこまで、いろいろな垣根を取り払って一元管理を目指すのか、注目していきたいと思います。

(かわいいイラスト、いらすとやさんからいただきました)

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行政のDXについて(5)

行政の各種手続きのDX(デジタルトランスフォーメーション)は、住民票申請の際に印鑑不要というような、目に見えるところから、さらに分野に広く展開されているようです。

昨日、「町田市、NTT東 協定締結し道路工事の申請などオンライン化目指す」という記事を拝見しました。「町田市と東日本電信電話(NTT東)は、「ICTを活用したスマートシティの実現を目指した共同検討に関する協定」を締結したと2021年2月5日に発表した。」という内容です。協定に基づき、道路工事の際に市への申請が必要な「道路占用許可申請」のオンライン化と、「災害時情報共有のオンライン化」に向けた検討・実証に共同で取り組む、とされています。

念のため、NTT東日本がプレスリリースした内容もみてみましたが、同じ内容になっておりました。用語の間違いではないようです。

この記事では「道路占用許可申請」のオンライン化がうたわれています。気になりましたのは、「道路工事の際の申請」の部分です。

「道路占用許可」とは、道路上や上空、地下に一定の施設を設置し、継続して道路を使用することを「道路の占用」といいます。
○該当例
◆電気・電話・ガス・上下水道などの管路を道路の地下に埋設する等
◆道路の上空の看板、家屋・店舗の日除け等

つまり、通常イメージされるような短期間の道路工事ではなく、数か月なり数年なり、一定の期間、道路を占用することを指します。確かに、この許可申請は市町村長に対して行うものです。

一方、記事の見出しにあったような、「道路工事」に関しては、

「道路の本来の用途に即さない道路の特別の使用行為で、交通の妨害となり、又は交通に危険を生じさせるおそれのあるものは、一般的に禁止されていますが、このうち、それ自体は社会的な価値を有することから、一定の要件を備えていれば、警察署長の許可によって、その禁止が解除される行為を、道路使用許可が必要な行為として道路交通法第77条第1項に定めています。」とされています。

この許可申請は、市長村長ではなく、警察署長に対して行われるものです。

整理すると、

◆道路占用許可→市町村長に申請(道路法32条1項など)

◆道路使用許可→警察署長に申請(道路交通法第77条第1項)

となっており、依って立つ法令自体が別のものです。

 

ここで、字句に文句を言うのではなく、せっかく「デジタルトランスフォーメーション」の流れなので、この申請がオンラインでなされるようになるのだとすれば、仮に、ルールどおりではなく、間違った申請先に送られた場合でも、簡単に行政の側が転送してくれて、「この申請は市」で「あの申請は警察で」などと、うろうろさせずに、片づけてあげる、というサービスにならないものかと思った次第です。

(かわいいイラスト、いらすとやさんからいただきました)

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