行政書士に登録しました

段階を踏んで進化していきたいと思います。まずは行政書士に登録しました。

デジタル終活のすすめ

この件は、私の理解では、行政のDX(デジタル・トランスフォーメーション)に結び付いているのですが、facebookに「デジタル終活」という公開グループを立ち上げていただきました。知人の主宰の方が誘ってくださいましたので、さっそくグループに加入いたしました。

「すべての終活をデジタルで解決するがコンセプトです」と簡潔に趣旨が書かれています。グループができてから数日しか経っておりませんが、すでに、3百人を超える人が参加されています。

「デジタル終活」には、少なくとも、二つの意味が含まれているものと思います。

ひとつは、パソコンやスマートフォンの中に残っている様々な「デジタル」な情報、そこには、ネット銀行の口座やネット証券のような、紙の通帳に現れない財産が眠っているかもしれません。あるいは、ご家族であっても人に知られたくない情報が閉じ込められています。そのあとしまつ「終活」をどうやるのか。本人が将来のことを想像し、進んで整理し、あるいはデータを廃棄し、ネット上の財産関係は必要なパスワード等を誰かに託す、というような一連の作業の重要性は、デジタルな文化に特有のものと思います。

もう一つ、「デジタル終活」として考えられるのは、自筆証書遺言の内容をデジタルな情報として書き留めておくことかと思います。
2019年から財産目録についてはパソコンで作成してもOKとなり、さらに2020年からは「自筆証書遺言の保管制度」がスタートし、作成した自筆証書遺言は法務局で保管してもらえることになりました。かなり便利になってきましたが、まだ、自筆証書遺言とは、遺言者によって遺言書の本文・氏名・日付のすべてを自筆して作成する必要があります。財産目録はエクセル表のようにパソコンで作成してもかまわないのですが、本文はパソコンで打つのは認められておりません。本人が作成したという厳格な要件となっています。

さらに、自筆証書遺言に限ったことではないのですが、遺言の本分に財産の相続のことを書いたあとに、付言事項として、「これからも家族なかよく暮らしてほしい」、「長い間、介護でたいへんお世話になった」などの心からの一言が、あとあと、財産分割を巡る争いごとをなくするために有効だとされています。これまでの実務ではそうだったのだろうと思います。

ただ、デジタルな流れを考えると、そもそも、「自筆=手書き」の部分も含め、もっと、デジタルに割り切る考え方があってもいいのではないかと考えています。

たぶん、このグループで語られることは、後者よりは前者の「デジタル情報の終活」という部分ではないかと思いつつ、気になる点をここに書かせていただきました。

ご興味のある方は、facebookで「デジタル終活」と検索してみてください。

f:id:shirakawamasa:20210208053229p:plain

 

行政のDXについて(4)

行政手続きのデジタル化が進んでいくと、それにうまく乗って的確に情報をキャッチして必要なサービスを得られる人と、その流れから遮断されてしまう人の格差が生まれそうです。新型コロナ対策の各種の補助金助成金の募集などが多数展開されていますが、必要な人のところにしっかり情報が伝わっているのか気になるところです。

昨日のニュースで「住民の情報格差の解消を図るため、東京都渋谷区は新年度、区内に住む高齢者に対し、スマートフォン約3000台を無償貸与する方針を固めた。同様の取り組みは一部の自治体で進められているが、これほどの規模は異例という」というものがありました。

記事によれば、「LINEとLINEペイを使って住民票の写しを請求できるなど、『来庁者ゼロの区役所』を目指している。新型コロナウイルス感染防止のために新しい生活様式が求められる中、行政のデジタル化を推進するには、スマホの操作に不慣れな高齢者への支援が不可欠と判断した」とのことです。

来庁者ゼロの区役所」とは、また、大きな看板を掲げました。

これをとりあげたテレビのニュースでは街の人の声として「高齢者に配布されても使いこなせるかどうか心配だ」というものがありました。

余計なお世話だと思いました。若者はどうかといえば、スマホで写真を撮ってインスタグラムにアップするなどの決まった操作を日々繰り返しているのではないでしょうか。高齢者にとっても、スマホを「使いこなす」必要はないのです。決まった手順にしたがって、限られた、必要な操作ができればいいのですから。

今回の高齢者へのスマホの無償配布は実証実験という位置づけだそうです。春一番ではないですが、各自治体が知恵を出して競い合う状況がすでに始まっている気配です。

f:id:shirakawamasa:20210205060049j:plain

 

行政のDXについて(3)

新型コロナ対策で、PCR検査対応や保健所の対応が不十分だと指摘を受けたり、定額一次給付金の支給が名簿台帳から手作業のため遅いと批判されたり、今度は、広く国民にワクチンを接種する段取りを検討したり、とにかく、自治体はたいへんな業務をこなさなければならない部署です。

それらは行きつくところ、「住民基本台帳」というデータベースがあって、そのデータの利用に関する課題ということになります。多くの自治体は、住民との対面による業務が基本で、電話やメール、FAXといったコミュニケーションスタイルで対処しています。そこを変えていこうというのが、「行政のDX(デジタル・トランスフォーメーション)」だと理解しています。

やっかいなことに、地方自治法が何度か改正され、現在、それぞれの地方自治体は、「上下関係」にはありません。つまり、都道府県は国の「下請け組織」ではなくなっていますし、市町村も都道府県の「出先機関」ではありません。一口に「地方自治体」と呼んでも多数の組織内の仕組みや手順をほぼ同じ業務フローに変革していく、ということは考えただけでも、たいへんな難題に思えてきます。

そこまで多数の組織ではないものの、36か国からなる「EU」は、国をまたぐ場合であっても、同じサービスを迅速に提供できるようにするという点で、同様の課題に取り組んでいます。そこを少しみていきます。

「欧州電子政府行動計画2016-2020」(European eGovernment Action Plan 2016-2020)というものが出されています。

「私たちの時代の産業革命はデジタルです。…企業が単一市場全体でのスケールアップを目指しているため、公共のeサービスも今日のニーズを満たす必要があります。」と明記されています。」

電子政府行動計画2016-2020は、この機会を認識しにボーダレス、パーソナライズされた、ユーザーフレンドリーな、エンドツーエンドのデジタル公共サービスを提供し、欧州連合の行政や公的機関、オープン効率的かつ包括的に作るために野心的なビジョンを提案しています」横文字がいろいろ登場しますが、だいたいの趣旨は理解できるものと思います。

「アクションプランには、専用の予算や資金調達手段がありません。ただし、さまざまなEUプログラムを通じて加盟国が利用できる資金源とそれに伴う措置を調整するのに役立ちます。」

機械翻訳なのであやしい日本語ですが、EUのデジタル・ガバメント施策では、まず目標を設定する、それを実行するために、欧州36か国間が競争し協働させるようなスコアカード「eGovernment Benchmark」を設けるという仕組みになっています。

これはうまいやり方だと思います。上部の組織が箸の上げ下げまで口出しするのではなく、目標を与え評価項目と結果のチェック表のみを統一して与える、そして、いつまでに達成すべきだという期限を設ける、そのための一定の共通予算を確保しておく、というようなやり方だと理解しました。

この手法を日本も採用するかどうかはさておき、この手法では、途中のアプローチは、それぞれの国情によって差異はあるものの、「ゴール」は等質のものが達成できるものと思われます。そこに競争を持ち込むということ自体、お役所の中に新しい風を起こすような期待感を持っています。

(いらすとやさんから画像をいただきました)

f:id:shirakawamasa:20210204054137j:plain

 

「空き家」3題

行政手続きのDXをちょっと中断して、本日は「空き家」について書きます。

平成31年4月26日に平成30年住宅・土地統計調査の概数が公表されました。 調査によると全国の空き家数はおよそ846万戸(前回調査では約820万戸)、全住宅に占める空き家の割合(空き家率)は13.55%(前回調査では約13.52%)となりました」NPO法人「空家・空地管理センター」からの引用です。日本全国の7軒に1軒は「空き家」ということになっています。

少し前に、神奈川県居住支援協議会から「空き家にしない『わが家』」の終活ノート」という冊子が発行されました。

http://www.machikyo.or.jp/kyojyushien/bukai/shien/akiya/note_202011.pdf

銀行の預金以上に生前に不動産の権利関係をはっきりさせておくことや、死後にどうしてほしいかを記録に残しておくことによって、相続した人の負担を軽減して、結果として、「空き家」を作らないようにすべきであり、そのために、司法書士行政書士土地家屋調査士などが協力して取り組むためのたいへん使いやすい資料だと感じました。

そう思っていた矢先に、本日「土地の相続登記義務化を答申へ」というニュースが飛び込んできました。

https://this.kiji.is/729212854903160832?fbclid=IwAR1v0HRCA-aMcGIBpbqBDeutyngnNdFOZodJ4zQocgbh2DKAOj_WYAOl9Rw

「土地の相続登記を義務付け、3年以内に登記しなければ10万円以下の過料を科す。一定の要件を満たせば、相続した土地の所有権を手放せる制度も新設する。法制審は10日に上川陽子法相に答申。政府は今国会に関連法案を提出し、成立を目指す」という内容です。

登記しなけれ罰則を設けるということも画期的ですし、反対に、相続した土地の所有権を手放せる制度というのも現実に即したものであるように思います。これまでは、土地を相続したくないと思っても手放せる制度というものはありませんでした。例えば複数の相続人間で共有になった土地が結果として複雑な権利関係に発展してしまい、処理困難な「空地・空き家」を生じてしまうということになっていました。

など、いろいろな角度から「空き家」問題への取り組みがなされていることに変化を感じていたのですが、さらに、「空き家幸福論」という本の紹介記事がありました。

https://shop.nikkeibp.co.jp/front/commodity/0000/281170/

内容まではよく理解できておりません。「家いちば」という名前の会社のPR本のようでもありますが、タイトルが意外であったことと、大前研一氏が「"負動産"だった空き家問題に夢を与える注目すべき事業だ」という推薦文を寄せていること。さっそく、Amazonに注文して読んでみようと思ったしだいです。

(今回も「いらすとや」さんから画像をいただきました)

f:id:shirakawamasa:20210202204632p:plain

 

 

行政のDXについて(2)

もうすぐ税金の確定申告が始まります。数年前から「マイナンバーカード」があると、スマホで申告できるようになっています。税務署に足を運んで行列に並ぶこともなく完結できます。税務署で申告すると「控え」に税務署のスタンプを押してもらう手続きがありますが、スマホから送信する場合、送信したスタンプが押されたものを何度でも印刷することができて、それが、税務署で印鑑を押してもらった書類に相当するものになります。

私も昨年、スマホでやりました。後で、小口の雑収入があり再送信しました。一発でうまくいくと不安が残りますが、もたつくとかえってやり方が身に付くものです。今年は、このコロナ下ですので、税務署に行かずに処理をする人が増えるのではないかと思われます。

この方法のメリットとして、「青色申告」の場合、e-taxで電子申告すると65万円の特別控除が受けられることになっていますが、スマホで送信すると、それを実施したことになりますので、特別控除が受けられるというオマケがつきます。

行政手続きのデジタルトランスフォーメーションの一例ですね。

簡単、便利に加えて、安心安全なことや、なにか「オマケ」をつけて、様々な手続きがデジタルなものに移行していくものと思われます。

新聞記事では、転居した際にこれまで必要だった、「転出届」と「転入届」のうち、マイナンバーカードを使ってオンラインで「転出届」を送ると、「転入届」は不要になる制度が始まります。すぐ、今年の春からかと期待しましたが、住民基本台帳法を今国会で改正されてから、新しい仕組みを全国のすべての自治体に入れる必要があるので、令和4年度中に運用開始を目指すことになっています。

住民票の変更をはじめ一切の行政内の手続きは、転出元の役所から転出後の役所に移されることになり、そこに紙は介在しない仕組みになります。行政組織のなかはかなり効率化されるものと思われます。

1点、このような手続きでも「なりすまし」を防止する観点で、引っ越し後に、一度、転入先の役所に出向き、マイナンバーカードを見せて本人確認をする必要があるとされています。ここが現状の技術の限界かもしれません。

こういう時に、たぶん、日本の風習として、「マイナンバーカードを使わなくても、従来のやり方でもできますよ」というような、「親切な」ルートを残すのではないかと懸念されます。「カードがなければ受け付けない」と割り切るところに行政が踏み切れるかどうかが勝負どころという気がします。

(いらすとやさんからいただきました)

f:id:shirakawamasa:20210202054615p:plain

 

行政のDXについて

デジタルトランスフォーメーションのことを「DX」と記載することがあります。

もともと、「DX」という言葉や概念は、2004年にスウェーデン・Umeå大学のErik Stolterman教授によって提唱されたものだそうで、社会全体への影響を生み出すことを意味しており、似たような定義の「デジタイゼーション」や「デジタライゼーション」とは、本質的に違うものとされています。

ちなみに、「デジタイゼーション」とは、ある工程におけるアナログ情報のデジタル情報への置換を意味し、「デジタライゼーション」とは、自社のみならず外部環境やビジネス戦略など、関係するプロセス全般をデジタル化することを意味するとされています。

印鑑不要などの、今、具体化しつつある行政のデジタルトランスフォーメーション「DX」の流れについて、数回にわけて、今一度、深掘りしていきたいと思います。新型コロナ対策が引き金になり進みつつある流れを逆戻りさせることなく、進めていくためと、「デジタル弱者」を産まないかという心配です。

せっかく進みつつある流れを逆戻りさせるものはいろいろありますが、例えば、「今は新型コロナ対策が重要な時なので、行政手続きの改革などは、落ち着いて平常に戻ってから進めるべきだ」という論法や、「各種の行政手続きの申請書は日本固有の印鑑の文化で維持されてきた。印鑑廃止になっても大きくそれを変更すべきではない」、「印鑑が押されていない文書よりも、押印された文書の方が信頼がおける」などの様々な現れ方があります。困ったことに行政の側ではなく、申請するほうに現状に留まることを「是」とする「とまどい」があるようにも思えます。

ですので、海外のいろいろな進展などにも留意しながら、もしかしたら、ガラパゴス化してしまっている日本の行政手続きを大きく変革したあとは、どういう方向に向かうのか、眺めてみたいと思います。

デジタル庁の発足に合わせて、「プロジェクトマネージャー」などの職種を民間から採用する選考が始まっています。兼業やテレワークを認める非常勤の国家公務員として、総勢約30人の採用を予定しているそうです。したがって、これまでのゆっくりした行政改革とは一味も二味も違うスピード感を持った改革があとに続くものと思われますので、進むべき政策の行きつく先について、ある程度の認識を持っておきたいと思います。この項目は数回にわけて検討していく予定です。

(しばらく、スタジオジブリからイラストをいただいてきましたが、強引に関係付けたものも尽きてきましたので、適宜、「いらすとや」さんからいただくことにしました)

f:id:shirakawamasa:20210202052124p:plain

 

給与のデジタル払いとは

新型コロナ対策が加速させている面がありますが、いろいろな方面で「デジタル化」が進んでいます。オフィスや会議のリモート化がそうですし、行政手続きから印鑑を無くすという動きも進展しています。

昨日の新聞によると、今度は、「給与のデジタル払い」ということがとりあげられていました。外国と比べて、日本は毎日のお買い物では現金が使われることが多いと言われてきましたが、新型コロナの影響で支払い時の接触時間を減らす、あるいは、コインやお札であっても、「もの」を手渡す際に感染のおそれがあるということもあって、昨年、「○○ペイ」というものがずいぶん普及しました。

そのような状況が背景にあり、会社が給与を支払う際に、現金や銀行口座振り込みではなく、「○○ペイ」で支払われるという方法もこの春から解禁されるということです。

新聞記事で初めて知ったのですが、今でも、「給与については労働基準法が労働者保護の観点から遅れなどがないよう通貨で直接、労働者に全額払うこと」が原則になっており「例外的に銀行振り込みを認めてきた」という建前になっています。

一方、「○○ペイ」を扱う事業者は「銀行」というくくりではありません。「資金移動業者」という分類だそうです。スマホを使ってQRコードを読ませれば決済ができるという仕組みができたとして、「個人情報保護や資金保全などでの基準を定め、安全性を担保できるか」が問題になります。

「政府は安全基準をみたした企業に限ることで理解を得る方針だ。3月末にも労基法に基づく省令を改正し、資金移動業者も例外的に認める対象に加える」というところまで進んでいるようです。

今、「○○ペイ」を使っている人のなかには、直接、現金をチャージした人もいるかもしれませんが、多くは銀行やクレジット会社から「○○ペイ」にお金を移して使っているのではないかと思います。新しい方法は、会社から銀行を介さずに、直接、「○○ペイ」にお金が移動することも可能ということになります。

これがどれだけ便利なのか、中国では、街中の露天商の支払いも「QRコード」決済でできるということですが。「○○ペイ」は現金決済にはない、ポイント還元などのサービスがあって普及を促進したようで、QRコードを月1回は利用したことがある人は2020年9月に3000万人を超えた、2018年12月の300万人超から10倍に達したということです。

小口の支払い場面では、これからもこの方法が増えていくものと思われますが、車や家を買う場面でも「○○ペイ」で支払うことになるのかどうか。なにしろ、給与は銀行にはなく、「LINEペイ」や「楽天ペイ」に置いてあるということになったら、数百万の支払いも「○○ペイ」で行わざるを得ないということに発展します。

「銀行のビジネスモデルが揺らぐとの見方がある。たとえば新卒社員は入社時に銀行口座を作り、そのまま利用し続ける人も少なくない。銀行口座を作らず、デジタルマネー支払いを選ぶ人が増えれば、銀行の顧客基盤が縮小する」とまで予測する人がいますが、百年間続いてきた「銀行」という制度が崩壊することになるのか、デジタル化は、なかなか、世の中を大きく変革する力を持っているようです。

(公開されているスタジオジブリの「思い出のマーニー」からイラストをいただきました。本文とは関係ありません)

f:id:shirakawamasa:20210128054920p:plain