行政書士に登録しました

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相続に関する民法改正の「裏話」;「配偶者居住権」

いろいろな観点で法令が時代の変化に合わなくなってくることはあり得ることです。
一連の民法改正が行われていますが、相続に関してもいくつかの改正があり、最近では、テレビのワイドショー番組でも取り上げられていますので、少し民法を勉強しただけの行政書士よりもお茶の間の主婦の方のほうが詳しかったりします。

法務省からも今回の民法改正のうち、相続の部分の変更内容がわかりやすいパンフレットにまとめられて出版されています。これです。

http://www.moj.go.jp/content/001276857.pdf

市販の本よりもわかりやすいもので、最近の行政は、このようなサービスに心掛けているように思えます。

その最初の項目に「配偶者居住権の新設」が記載されています。

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「配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、配偶者は、遺産分割において配偶者居住権を取得することにより、終身又は一定期間、その建物に無償で居住することができる」「被相続人が遺贈等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることもできます」と丁寧に説明されています。

より詳細には、「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」の2種類があり、遺産分割協議をしている6か月間か、あるいは、遺産分割協議の結果「終身」居住することもできる、上記のイラストは、後者の場合を図示したものです。

 

そこまで理解ができたとして、先日、ある勉強会で教わったのですが、
①この「配偶者居住権」は、遺産分割又は遺贈されたことが要件になっている
②したがって、配偶者に「相続させる」旨の遺言による配偶者居住権の取得は認められない
というのです。

「相続」と「遺贈」は違うものなのかという疑問を投げかけたところ、「それは、全く成立要件が異なるもので、『通常の売買契約』と『贈与』の違いと同様」という回答でした。難しすぎる。

さらに、「相続放棄をした場合でも遺贈は受けることができる」ということも付け加えられ、混乱の極致です。(これは昔、学習した気もするが・・)

 

そもそも、この「配偶者居住権」は、残された配偶者が引き続き夫婦で生活してきた家に住み続けたいが、それを主張すると他の財産を受け取れなくなってしまうので、上記のイラストでは、「2000万円の家の権利を、①配偶者居住権と②負担付き所有権に分ける」というところがポイントか。

一方、遺言によって、その建物を「配偶者に相続させる」とした場合、全部の権利が配偶者のものになるので、上記のように「①配偶者居住権と②負担付き所有権」に分けることが不可能になる、ということかと理解しています。
(お父さんは、良かれと思って遺言に書いたことが裏目に出ることになってしまう)

 

しかし、「遺贈」ならば、「配偶者居住権」は認められるという。
そうすると、ポイントは、「遺言」の書き方、表現の仕方の問題なのか。

 

幸い、この「配偶者居住権」は、来年、2020年4月から施行されるということなので、それまでに、もっとクリアに理解できていて、ひとに説明できるようになりたいと思った次第です。