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12月1日施行の改正漁業法とは

本日から12月、師走です。あと少しで新年を迎えるので、さずがに、法改正されて12月1日から施行というようなものは、そうそうないだろうと思っておりましたら、考え違いでした。少なくとも、1件ありました。

安倍晋三前首相が「70年ぶりの抜本改正」と強調した新漁業法が12月1日に施行される。過剰漁獲に海洋環境の変化が加わり、昨年の漁業生産は養殖を含め416万トンと過去最低に落ち込んだ。ピークだった1984年の3分の1にすぎない。政府はノルウェーなどの漁業先進国が取り組む厳格な管理を浸透させ、資源と漁業生産の回復をめざす。」

ということで、聞きなれない「漁業法」が改正され、本日から施行されます。
そもそも、平成30年12月に法改正が成立しており、公布の日から2年ということで、本日施行となりました。

細かい点には触れませんが、ポイントは、「資源管理が進んだ国では漁業者(漁船)ごとに漁獲枠を決める。アイスランドニュージーランドなどでは枠の過不足を取引することもできる。」という時代の流れが背景にあり、今回の法改正によって、国際標準の資源管理に近づける観点から、我が国の場合でも、漁船ごとに日々の漁獲高のデータを情報発信させるという点にあります。そうです、ここでも「電子化」です。

したがって、法改正の内容が交付された時点で、零細漁業家が多い、我が国の実情ですから、すんなりと国の方針だからといって、各漁船単位でパソコンやら情報管理・発信のツールを装備するのは負担が大きすぎると反発があり、「戦後70年続いてきた漁業法と、代代受け継がれてきた生産現場をないがしろにする新漁業法に対して、都道府県独自の条例を制定することで対抗していく提起もあった。」と当時の新聞が報道しています。

また、法改正によって、企業にとっては希望したら許可を維持できるというメリットがあり、より参入する条件がよくなったという側面があるものの、企業が漁業権を持った場合、倒産しない限り永遠にその区画を使うことができ、地元の漁業者にとっては「他人の海」になってしまうという点も懸念されるようです。

70年もの間、法律が変わってこなかったということは、伝統を守るという点では大事なことかと思いますが、一方で、漁獲高も減少の一途ということや、就労者も高齢化しているという背景もあり、「沿岸漁業者が抱える問題解決のためにも、若者が安心して生活を送れる漁業にしていかなければならない。今日を契機に漁村地域の特性を生かした漁業の構築が進むことを願っている」と、漁協の方がコメントしています。

70年ぶりに改正してオシマイということにとどまらず、やってみたけれど修正が必要という点は、適宜、改めていくことが重要ではないかと思います。

前向きにとらえれば、ノルウェーなどのように、漁獲枠に余裕がある国との間で「漁獲枠取引」のような交渉が可能ということもあるようです。なかなか縁がない分野でしたが、国際標準に合わせて電子化が必要という点で、長く続く伝統ある「水産国日本」ならではの課題のように思った次第です。

(シブリスタジオさんが公開してくださった「コクリコ坂から」いただきました)

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